Zero Gravity

真っ直ぐに進んでいくために
必要だったのは ほかでもない
足を正しく立たせる重さだった

抱え込むもの全て背負っても
重すぎて 進めないし
浮足立っても痛い目を
見てしまうだけ

それに気づいたのは
浮かんでひたすら
涙を空に還している時で

もう戻れない

何かを得るために
何かを失う
そんな代償いつ払ったか
知らないけれども
得たものが望んだものかも
知らずに 流されていく


誰かに望まれ 利用され
重力のような 犇めき合い
明日を正しく壊す怖さだった

欲しがるもの 全て望んでも
遠すぎて 届かないし
自由への引換が 何も持ち続けないこと

それに気づいたのは
重さを失い
無重力が無力になった時で

もう帰れない

何かを得るために
何かを失う
そんな代償で済むのなら
全てくれてやる
得るものが望みに叶うか
知らずに 離されていく


何かを得るために 何かを失う
そんな代償覚えもなく
気づかないままで
得るもの望んでなくても
進めて 次を求める

羽を手に入れて 空を飛ぶ
そんな不自由な自由の中
新しく出会うものに ひきつけられるよう
道なんてありもしない 空で
新しい未知を描く

間違い探し

理想を掲げて 進み始めて
今 僕らは どこにいるのでしょう

うまく進めている
ほら、そんな顔をしないで

迷ったって思えるのはさ
行きたい場所 本当は知っているからでしょ?

何をどうしたらいいの
なんて言うけれど
君のやりたいように
すればいいよ
間違えたって
ほら 今みたいに
迷ったって気づけるでしょう?


現実を突きつけ 追い込まれてて
今 僕らは どんな顔でしょう

何か失くしている?
ほら、そんな過去を見ないで

間違たって思えるのはさ
大切なもの 本当は知っているからでしょ?

何を大切に抱えて
生きていくのだろう?
今あるものだけは
守れるけど
振りかえたって
取り戻せない
ほら、今みたいに
間違たって気づいたなら
何を集めて探して
生きていくかでしょう
誰かとぶつかるけれど
手を取り合って
失たって
迷子になったって
間違い探しを
ずっとずっと続けるでしょう

動点P

君とあたしは 出会ってしまったのだから
同じ次元にいるはずだけれど
うまく 届かないな

数学苦手なあたしだから
動点Pみたいに動いている君なんか
苦手だけど 嫌いになりたくない

もしかして 持ち合わせた
ベクトル「a」が違うのかも

まだまだ原点で始まったばかりなのだから
せめて どうにか 解き明かしたいのよ
ポイントx=1 の時には 近づいていられますように


君とあたしは 違う生きものだから
分かり合えることはないんだとか
ひどく投げやりだな

数学好きな理由を君は
「美しく 初めから それしなかったような
素晴らしさ」と 見え方も違っていて

生まれては 持ち合わせた
「+b」が 異なるけど

これから解き明かしていくのだから
君が 望んだ 途中式さえも 美しく
ポイントx=20なら 解が見つかりますように


これから解き明かしていくのだから
ずっと君にね 明け暮れていたいのよ
ポイントx(lim→∞) へと
そばにいていられますように

ヴェール

繭を作りましょう 赤色に混じるは白
織りなす針は 心を 以って

私が籠るためか 貴方を守るためか
何にしても それが愛と
呼ばれる品物であるように

組み上げた織を空に向けて
高く 高く 掲げて啼いた
繭を作るのは私たちで
解くことを恐れて
陽炎だけ 追いかけていく


道を作りましょう 地平線交じるは空
突き抜く芯は 誰を待って

明日へ進むためか 昨日を守るためか
どうもしても それが人と
呼ばれる道のりであるように

隔てられた道の果てに向けて
遠く 光 泣く 愛とムーン
繭を解くのは私たちで
気づくことを恐れた
夜闇へと吸い込まれる



We made the cocoon with all my prayers.
It showed up in shape.
I knew it would be far away from us someday.


結み上げた繭を空に向けて
高く 遠く 掲げて啼いた
解かれてくのは私たちで
長い夢のようでいた
旅路の上 歩みだしてく

ナツササガシ

ナツが落ちてきたんだって
それを探しに行こうか
滴る汗拭って
視線を取り戻そう

速度が速まるたびに
身体は熱をまとい
もしかしたら ねぇ
そこら中に 蔓延っているのかもね

追いかけ続けてた日々も
忘れてしまうのなら
今 思い付きの呪文
忘れないために唱えよう
夕日を見つめながら
「さぁ 次はどこへ行こう?」


降り注ぐ日差しに道
カゲロウに惑わされても
流れ星を追うより
いとも容易いだろうさ

暗闇深まるたびに
心は黒を纏い
遠くなる 囃子
寂しさに 戸惑っているのかもね

願い続けてた夜も
手を合わせるだけなら
嫌われないためじゃなく
好きでいるために 繋いでよ
朝日を見つめながら
「もう、夜はあけているよ?」


何か求めてみたくなって
ナツを言い訳に 探しに行く
そんな寂しさを僕らは 知っているから
今更 確かめる 意味もないほどの 日差し


追いかけ続けてた日々も
忘れてしまうのなら
今 思い付きでいいよ
忘れても埋め尽くすほどの
毎日見つめながら
「ねぇ ナツを探しに行こう」

星逢

その川岸で見ていた
誰かの希望と信じていた人の光
何を抱えて 今ここに私はいるの

時か 呪いか 何かが私たちを隔てて
願いの川の前では 私の祈りも流されてしまう

だから つなぎ続けた 長い夜の束を
胸に携えてたら その川のように 美しく輝けるかな

いつだってあなたが迷わないように 見失ってしまわないように
その思いだけで 羽を折り 空を紡ぐみ
そして 二人を引き裂いた 距離を 愛おしくもどかしくて手繰るように


その短冊を眺めた
誰かの願いと揺られてる笹の心地
何を望んで 今ここに私はいるの

幸か 不幸か 何かを私たちは掲げて
帆の代わりにして進み この慈しみも流されてしまう

そんな 願い犇めく 長い星の束を
孤独を抱えながら 綱渡ように あなたに届けられるかな

いつだってあなたが戻ってくるように 二度と遠く離れないように
その思いだけで 夜を 星を結び
せけて 二人を遠ざけた 距離が 何よりも強い証であるように



いつだってこの夜空に輝いてる 私を迷わせ困らせた
その星たちだけ ブーケの中 鏤めさせて
せめて 二人を閉じ込めた 距離を いつまでも忘れてしまわないように

泣くな、バカ

不穏な雲行きの中 僕らは手を取り合った
降り出した雨空に ふたり隠れるように 傘を差して

世界から逃げたように
まるで切り離されたみたいに
溶けていった心 空に奪われたまま

降り続けていた雫が
温もりも奪って 夜を思い出させる

頬に手を当てれば ほら
寄り添う額が重ねた祈りを紡いで
君は泣いていたね
ごめんね、その顔の星を見届けているだけ
あの時だってそう 泣くな、バカ


祈り続けることにも 僕らは疲れ果てて
降り続く雨雲が 去ってしまわぬように 憂い続け

太陽忘れたように
まるで見たこともないみたいに
沁み出した祈り 夜を押し広げてく

移り変わりゆく世界に
いつか気づいて 空を思い出しては

頬に手を当てれば ほら
悲しそうにも不思議そうな顔してみては
君は困っていたね
ごめんね、その顔に笑顔を届けられなくて
今更なんでだもう 泣くな、バカ




頬に手を当ててみたとき
悲しそうにも不思議そうな顔していたのは
僕のほうだったね
ごめんね、その顔に笑顔を届けられなくて
今も胸締め付けている
もう悲しみこらえ笑顔だけの顔をしてみせた
君を思い出しては
さよなら、最後には笑顔で見送ってくれて
今更微笑んでは 泣くな、バカ