あの夏が待っている

夏が干からびていた

長い道路の逃げ水

それは私の心を潤すものでもなく

深くまみれた湿度に

微温くべた付く首元

それは私の乾いた喉まで纏わり付き

このまま日差しに打たれ

気が遠くなりそうなとき

瞼の裏かすめた

黄色ひまわりの一面

照らすあたりの景色

戸惑い覚え

記憶となり残っている

あの日々はまだ

心に眠っているまま

それが気になる

到着駅と急ぎで買った切符

夏を迎えに行こうか

濡れた道路の打ち水

それは風の通り道

攫う心の微熱

縁取られている車窓に

徐々に増えてく夏草

それの間の線路を繋ぎ揺れ踊る足

荷物と地熱に打たれ

うなだれて伏せそうなとき

真上で影を作る

白いワンピースの投影

君が夏の街に僕を連れて

記憶並べ辿っている

あの日々はまだ

そこらに眠っているだろう

暑い陽射下

蜃気楼と滴り散った汗

君が夏の空に罅を入れて

夕立が差し迫っていた

どこにもいけない

どこにもいかないでいい

そんな気がした

停留所と中止になった祭り

滲む夏の空に虹を掛けて

視界が透き通っていた

赤く染まる果て

またここに戻ってこよう

そんな気になる

いつでもまたあの夏が待っている

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気づいたら8月だった。

今年は何したいとか

何しようとか

何も考えずに

夏休みっぽいものになっていた気がする。

逃げ水×ひまわり×夏草×線路×ワンピース×停留所×祭りで役満