秋雨前線

勘違いした 昨夜の話は

あれ以降 僕が一人で考えたもの

朝起きても 考えてしまう

引きずり過ぎた 予報は停滞していた

滲んだ手 緩んだ足

掴んだって 滑べる口元

何よりも素直だったのは

身体だけで 心までも軋んでいく

か細くて僕のために放った言葉は

連日の雨の傘を叩く音で消された

染み付いてべた付く嫌な

額を流れる汗は

あぁどうして

あの頃を思い出させるのでしょう

巻き返した 9月の秋雨

大気だけは 僕の季節を違わないもの

時止めても 過ぎ去ってしまう

いつでも夜の途方はとうに暮れていた

沈んだ目 赤らむ空

揺らいだって 歩く明日の

何よりも厄介だったのは

生きるだけで 欲望が膨らんでいく

避雷して生き延びても困った命は

連日の雨の窓を叩く音で盗された

色付いてベタ塗りの様な

雲が流れる空は

あぁどうして

秋口は遠回りするのでしょう

犇めいて鳴り止まない黙った片隅

連日の雨の胸を叩く音で押された

地に着いてべた踏みのまま

足がつける跡は

あぁどうして

今、さらに逞しくなるのでしょう