砂の城

初めからここにあったような

初めから何もなかったような

今また私はここに立ち息をしている

何かを失ってしまったような

何かを忘れてしまったような

そんな事さえも分からないほど時が過ぎ

いつか私の知らない未来が

誰かを助けて

誰も助けられない

それを繰り返していく

伝う頬の色は

あの時のと滲みて同じだった

受け入れられない現実を

ただ確かに認める潮風と同じ匂い

苦しみだけに 溺れてしまう前に

温めて

再びに築きあげるのに

いつからか意味もなかったような

サイゴの日が来たら……

足が竦んでいる

脆く嘆かわしいだけしか無い

積み上げて崩し

何も残らないなら

飲み込んでしまえばいい

溶ける砂の城

水しぶきを上げて灰になった

固く閉ざされた遠い過去

ただ確かに踏みしめるあの頃と同じ思い

憎しみだけに 溺れてしまう前に

受け止めて

吹き晒す砂時計

砂が舞う 一瞬でも

進むことが止まらないこと

それだけは忘れられないよ

淡く歌う歌は

砂の城を造り詰るようで

枯れ塞ぐ声は

少しの力もないのだけれど

この澄み広がる青空の下

確かに抱きしめる砂浜に広げた夢

また初めから 築きあげていこう

砂の城

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いつか崩れてしまうその脆さの横で

もう一度、もう一度って。