羽のない夜

僕たちはいつの間に

羽を持つようになっていた

寒い冬も凍える事もなく

どこまでも断ち切れない僕ら

孤独を包む闇の中でも

うまく飛べるはずなのに

羽のない夜に 一人

泣いて 僕は飛べなくて

世界が眠る速度で 涙が落ちる

一人では 何も出来ずにいること

本当に必要なものだけが

胸の中で暴れていた

閉じ込めた不満や不安も

騒ぎ出してきた

背中の違和感が気になっている

どうしてこんなにも簡単に

羽もいつか使えなくなること

忘れてしまうのだろう

羽のない夜に 君を思う

僕は飛べなくて

貴方までの距離を渡れずにいる

一人でも 何も困らずにいること

本当は要らないものだけが

部屋の中で溢れていた

羽のない夜は 長い

僕は情けなくて

世界が変わる速度で 瞼が落ちる

一人では 何も出来ずにいること

必要になってしまったことも

夢の中で忘れていた

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羽=携帯やパソコンと言うイメージ

便利になる分にはいいけれど

それがなくなった時

却って当たり前だったことが

災いするけれど

よくよく考えると

そうものに縛られている気がしないでもない

っというお話。