彩雲

誓ったんだ 私 どこの誰でもない私に

もう涙は見せないのだと

目を塞ぎはじめ これで大丈夫だと

自信高らかに 意気揚々に

見たくないものは

見なくて済むようになったし

雫が溢れることがあるようなものならば

すぐに拭えるし 赤い目だって

押さえつけていたせいだって

言い訳でさえ完璧なんだ

でも、それで気づいた

まだ泣いてる

牙をむく景色は

耳からもするんだ

一生懸命に嫌いなものを避けて

見えないようにしてきたけど

嫌なものだと気付いてしまう心は

音も掻き分けてしまうようで

それに気付いたとき なんて不幸なのだと

もうどうしようもなかったんだ

奪ったんだ 私 どこの誰でもない私の

もう涙流せないように

耳塞ぎはじめ これで大丈夫だと

イヤホン大音量 何も聞こえない

嘘 罵詈雑言

聞かずに済むようになったし

自分の音が聞きずらくなることもあるけど

すぐに歌えるし 音痴でだって

声を聞いてないせいだって

呼吸でさえ分からないんだ

でも、それで気づいた

まだ泣いてる

吐き出した嗚咽は

耳には届かずに

一生懸命に嫌いなものを避けて

聞かないようにしてきたけど

どんなものでも気づいてしまう頭は

色も作り出してしまうようで

それに気付いたとき なんて不幸なのだと

もうどうしようもなかったんだ

一生懸命に嫌いなものを避けて

見ずに聞かずにしてきたけど

開いた口から紡いでしまう言葉は

何で塞いでしまえたらいいか

それに気付いたとき なんて不幸なのだと

もうどうしようもなかったんだ

一生懸命に嫌いなものと生きて

見ずも聞かずも動いている

何か伝えようとしてしまう心は

雨降らずに見れる虹のようで

それに気付いたとき なんて幸福なのだと

もうどうしようもなかったんだ